怖くないおしゃべり

なにしろ三時間弱。

おしゃべりの順なんておぼえられない。

だから順不同。

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(照明が透明ガラスの電球で薄暗いことから)

 

ス「この照明いいよねえ。稲川淳二みたいな」

 

から怪談噺。←スによる無茶ブリ。

 

ドラマーが『怖い話』を披露。

 

D「部屋帰ってさ、トイレのドア開けて何かいたら怖くない?」(要約*終了)

ス「え?これからだよね?」

D「怖くない?人から聞いてすごい怖かったんだけど」

ス「う~ん・・・先があるのかなって」

 「シャンプーしてて誰かが後ろにいる気がするとかあるじゃない」

 「俺、あれもない。むしろ待っちゃってる!」(頭を洗うしぐさ)

 

ス「俺そういうの全然ない」

と、霊感も心霊体験もないし、そういう事信じてない雰囲気。

 

そんな彼の『怖い話』↓

 

俺、一回だけある。怖いっていうか、不思議なの。

昔ね、俺おじいちゃんとおばあちゃんに育てられたの。

一緒に暮らしてて。その家が火事になって全焼したの。

おじいちゃんはもう亡くなってて、俺が17歳の時に亡くなって、

おばあちゃんが一人で住んでたんだけど、おばあちゃん転んじゃって。

ストーブ倒しちゃったの。で、種火がこぼれて。でもおばあちゃん

気づかなくてそのまま寝ちゃって、全焼しちゃったの。

で、そこは更地になって、実家帰った時、

「ヒサシ見に行ってくれば?」て言われて、育ったトコだし

まあ一回見とこうかな、で行ったの。自転車で。

 

ほんとにさ、更地なの。

あーここだーとか思いながらさ、見たらさ、小さい祠?

・・・なんていうんだろう。まあ、祠だね。あってさ。

なんだろうとは思ったけど須藤家のだから一応こう(拝む仕草)して。

で、ななめ向いにね、俺が子供の頃昔ここに住んでた頃、お世話になった

おばさんがいてさ。そこ駄菓子屋なのよ。

 

すっごくお世話になった、育てて頂いたからさ、挨拶行こうかな。

でも髪こんなだしなっ、て。

でもすっごくお世話になったから行ったの。

どうもーヒサシですーて。

 

で、そこで買った五十円のガム噛みながらさっきの更地見たらさ、

さっきの祠の前におじいさんが立ってんの。

髪ぼさぼさで。長くて。なんか白いの着て。立ってんの。

うわーーーーって。みちゃったなーーーーって思ってさ。

おじいちゃんみちゃったよーーーーって。

 

でもおじいちゃん、足あるなーーーーって。

足、しっっっかりあるなーーーーって。

 

もう訳わかんなくて、帰ろうと思ったんだけど、自転車がさ

そのおじいちゃんの向こうにあるの。

どうしようどうしようって。でもバッて取って。

家帰ってさ。誰にも言わなかったんだけどね。

 

25くらいの時に、おやじがさ、東京来るっていうから

一緒に飲んでさ、その時の事話したの。

そしたら、その、あのおじいちゃん、隣の家の人だったの。

 

そりゃー足あるわ!しっっっかり足あるわ!

隣の人だったの。

おじいちゃん、ほんとに寝起きだっただけ。

そっから、それまではなんとなく気まずかったんだけど、

そっからおやじとリラックスして飲めた。

 

 

↑だいぶ端折って書いたのにこの長さ。

途中、「あ、これ、夏の話だから。言い忘れてたけど」との

発言に、オマエ・・・今作りながら話してねぇか?と思った。

 

そして最後に 「この話初めてした」と。

メンバーから、長い、とツッコミ入れられて

「長いから、話す所がないね笑」

そこ?長さの問題!?

 

この、なんでもない話を聞かせる能力。

聴いちゃったよ。会場全員が静かに聴いちゃったよ。

 

なんでもない、ただの勘違い話を堂々と披露する、

そのハートの強さが怖いわ。